IC-R8600は専用のソフトを使うと、ネットワクー状に接続したパソコンからリモートコントロールすることができます。
従来はこの手のリモートコントロールをするためには、無線機側にも無線機をコントロールするパソコンが必要でしたが、IC-R8600は無線機コントロール用のパソコンがいらないのが特徴です。
ネットワークで無線機をコントロールするためにパソコンを購入して常時稼働しておくなんてのは、なんか勿体無いし常時稼働のパソコンのメンテナンスって結構大変ですが、IC-R8600はパソコンが必要ありませんから、手軽にリモートコントロールを実現できます。
リモートコントロールには専用ソフトRS-R8600が必要
リモートコントロールに必要なのはRS-R8600というリモートコントロールソフトです。
オプションとして9,000円近い価格はちょっと痛いですが、これを使えばリモートコントロールどころか受信音もネットワーク経由で聞くことができるので機能的には利便性は高いです。
Windowsのみ対応
残念なのがこのソフト、Windowsのみの対応で、自分が普段使っているのはMacintoshなので使えません。
ParallelsでMacでWindowsを走らせる
どうしてもMacでRS-R8600を使いたかったので、MacOSでWindowsを同時につかうことができるparallelsという仮想化ソフトを使ってみました。
Macintoshには標準でBoot CampというWindowsを使うことができるソフトがついていますが、これはMacとWindowsを切り替えて使うソフトです。
Windowsを使うたびにMacをリスタートしなければいけないので、いちいと再起動するのは面倒くさいしまどろっこしし、Macを使いながらIC-R8600をコントロールできません。
RS-R8600はそれなりにCPUパワーが必要
RS-R8600を快適に利用するためには、結構CPUパワーが必要なようで、そうでなくてもParallelsでWindowsを快適に動かすためにはCPUパワーが必要です。
最初に使ったMacBookはCPUがm5で完全に役不足、Parallelsを使ってRS-R8600を使っているとフリーズしちゃって使えませんでした。
MacBookProを使ったら、parallelsでもRS-R8600がフリーズすることなく快適に使えるようになりました。
インターネット経由のコントロールにも成功
ついでにインターネット経由外部からアクセスする設定もして、フリーWi-fiのあるところからMacBook Proをつかって自宅のIC-R8600にアクセスして楽しんでいます。
出先にハンディレシーバーを持ち出しても、イベントでない限りあまり快適に電波を受信できませんが、自宅の屋根の上にあげたアンテナならそれなりに色々と受信できるので出先でも受信趣味を楽しむことができます。
RS-R8600の設定
まずはIC-R8600を家庭内LANにつなぐ
IC-R8600にはEthernet端子がついています。無線LANには対応していないので、Ethernet端子にネットワークケーブルを繋ぐ必要があります。
IC-R8600でネットワーク名もしくはIPアドレスを固定
ネットワーク内でIC-R8600を認識するためには、IC-R8600本体で設定する必要があります。
ネットワーク名をつけるかIPアドレスを固定する必要があります。
IPアドレスを固定するとちょっと設定が面倒ですが、インターネット経由外部からアクセスするときのルーターの設定はIPアドレスの方がわかりやすいので、固定IPアドレスにするといいと思います。
Utilityソフトを設定
RS-R8600を利用する前に、Icom Remote Utilityというソフトを使ってネットワーク上のIC-R8600に接続しなければならないのが、ちょっと面倒くさいというか、なんでこんなことしなければならないのかなというところ。
もしかしたらIcomのネットワークリモートコントロール可能な無線機をコントロールするための共通のソフトなのかな?
このUtilityにIC-R8600のネットワーク名かIPアドレスを設定してComポートを指定して、そのごRS-R8600を起動すればネットワーク上でIC-R8600を音声も含めてコントロールすることができます。
インターネット経由コントロールする設定
インターネット経由外部からコントロールする場合は、このUtilityソフトに外部コントロール用の設定を追加します。
IPアドレスはグローバルアドレスを入力して、ルーターで50001〜50003の通信をIC-R8600に飛ばすように設定することになります。
ちなみに一般的なインターネット接続契約だと、グローバルIPアドレスは固定ではないので注意が必要です。
固定じゃないと言っても、そうそう頻繁にアドレスが変更されることはなく、ルーターをリセットさせたときぐらいでしょうか。
もし心配なら、ダイナミックDNSなどを利用するといいかもしれませんし、今は固定IPアドレスを月数千円で利用できるようになっているのでお金で解決するという手もあります。
インターネット経由でも遅延が少なく快適
Utilityにはどれくらい通信が遅延しているのかのデータが出てきますが、遅延はコンマ数秒で押されられています。
RS-R8600は受信だけですから遅延は問題になりませんけど、トランシーバーのリモートコントロールの場合送信のタイミングが重要なので、Utilityにある遅延はデータはとても重要なデータです。
RS-R8600のちょっと困ったところ
リモートコントロール中は本体のボリュームをコントロールできない
このリモートソフト、完全にIC-R8600を外部コントロールできるようになります。
本体のメモリーとか設定とかは全く関係なくなりますので、RS-R8600の方でいろいろ設定をする必要があります。
ところがボリュームとか録音とかの設定は、なぜか本体の設定のまま動作します。
本体のボリュームをオンにしたままネットワークでコントロールすると、本体から受信音が聞こえるようになります。
もちろんパソコンからも音が聞こえるようになります。
本体のボリュームを落とそうとしても、本体のボリュームは操作を受け付けてくれません。
ネットワークコントロールする前に本体のボリュームはゼロにしておかないと、リモートコントロール中の音を本体から消すことができません。
本体での録音も同様で、リモートコントロール中は本体で録音動作を停止させることはできません。
周波数を直接入力できない
IC-R8600でバックアップしたメモリーとか設定のファイルは、RS-R8600にネットワーク上で移行できず、改めてRS-R8600で入力する必要があります。
RS-R8600にはVFOモードという概念がなく、テンキーを使った周波数の直接入力もできません。
RS-R8600で快適にIC-R8600を使うためには、RS-R8600のメモリー利用が必須になります。
IC-R8600のバックアップファイルはRS-R8600で使えない
IC-R8600で作成したバックアップファイルは、RS-R8600で読み込むことができません。
IC-R8600で作ったメモリーのバックアップファイルを、IC-R8600のメモリー管理ソフトCS-R8600でCSVファイルに変換するしか方法はありません。
これ、どうしてこなっているのか全く理解に苦しみますっていうか、CS-R8600をどうしても買わせる戦略なのか?って思ってしまいます。
一度メモリーを登録してしまえば、ほぼ本体と同じようにネットワークからのリモートコントロールができます。
IC-R8600のリモートコントロールはどんな状況を想定している?
インターネットを経由して外部からアプリを使って完全にIC-R8600をコントローすることができるようになるという、とても面白い機能を使えるようになるRS-R8600ですが、どんな利用シーンを想定できるでしょうか。
アマチュア無線家向けにはあまり有益ではないか?
IC-R8600自体は、ICOMのホームページではアマチュア無線のカテゴリーに分類されていますので、一般向けと想定されます。
とは言っても、100万円以上もするIC-R8500もまた同じカテゴリーに分類されていますから、受信機カテゴリーは必ずしもアマチュア無線家向けではないかもしれません。
アマチュア無線家や一般の人が外部から自宅の受信機を利用するシーンというのは、それほどないのではないかと思われます。
サラリーマンが仕事中に私物のパソコンなど使えないから、使うのはせいぜい昼は休みぐらいで、それほど利用時間は多くはないのではないでしょうか。
アマチュア無線では時々見かける、セカンドハウスに無線機を置いて自宅からコントロールするというケースも考えられますが、たかが電波の受信でそこまでやるのかどうか。
最近は受信できる電波が少なくなっていますし。
ということで、実際はあまり利用機会は多くはないのではないでしょう。
業務用途ではそれなりに使えるかも
業務で使う場合は、受信機を郊外の見晴らしのいい場所とか、受信対象のそばに施設を借りて使うとか、今まで大規模なシステムを導入する必要がありましたが、IC-R8600とRS-R8600を使えば、とても簡単にシステムを構築できるようになるでしょう。
まとめ
RS-R8600の使用感についてまとめてみました。
私は現在フリーランスなので、自宅の仕事場とか、自宅外であればコワーキングスペースとか、受信機のない場所で仕事をする機会が多く、仕事中に航空無線をBGMにしたい時などに重宝して使っています。